[1999.07.25]
  リアル,っぽい


 ▼逮捕の男「実際に操縦したかった」と供述(Mainichi INTERACTIVE)
  http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/hijack/0723-11.html


 それ,リアルっぽい? フライトシミュレーターは実際の飛行機操縦に限りなく近いリアルさを再現している。ゲームだと思って馬鹿にしてちゃいけない。でも,そのリアルさを現実に持ち込むには,いくつかの作法がいる。

 23日に起こった全日空ジャンボ機のハイジャック事件で,機長を刺殺し逮捕された無職の男(28)は,「フライトシミュレーターをやっている。実際に操縦したかった」と供述している。産経新聞の記事では「ゲームでは満足できず、実際に飛行機を操縦してみたかった。自分なら操縦できると思った」と得意げに語っているという。フライトシミュレーションゲームは,主にパソコン向けに市販されており,購入者は20代後半から60代までと幅広く,特に中年男性に人気が高いという。

 フライトシミュレーションは,特にリアルさを追究している。「飛行機の機首の上げ下げやタイヤを出すタイミング,フラップの微妙な動き,離発着の操作」などなど。本当かどうかはわからないが,テクノロジーが極まっている実際の航空機の操作それ自体は,緊急時を除いてゲーム的なコマンド入力作業に近くなっており,フライトシミュレーションゲームはそのリアルさもあいまって,操作の初歩を学ぶための能力は十分に備わっているという。しかし,かといってフライトシミュレーションゲームの名パイロットが,リアルワールドのジャンボ機のフライトをこなせるというわけではない(当たり前だけど…)。

 しかし,犯人はそれをできると思った。いや,実際にできたのかもしれない。そのまま任せたら,案外無事に着陸までやっちゃったかもしれない。デジタルを,究極までラスタライズすると,リアルワールドにつながる。犯人は,その「究極のラスタライズ」を「妄想」で行い,実行した。「妄想」ではなく,「努力」や「学習」で行えば,彼も,彼が殺したような名パイロットになれたかもしれない。妄想狂の,哀しい事件だった。


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